「剣道は武道だからビデオ判定は不要」とか言っちゃってる人は読んでください

おはようございます。こんにちは。こんばんは!

今回は剣道についてです。

剣道界ではずっと議論がされているビデオ判定について、
チャイスケの意見を展開します。

「剣道は武道だから・・・」という理由でビデオ判定導入を否定する人には真っ向から反論します。

前提

まずを前提を揃えておきましょう。

剣道の試合は誤審が多いという現状があります。

また、
ビデオ判定不要派の意見としては主に以下2点だと認識しています。
※他にもあるよ、という人は教えてください。

①:武道だから誤審を甘んじて受け入れろ

剣道は武道であり人間形成の道であって、試合で勝つことが目的ではない。
そのため、誤審も甘んじて受け入れるべきだ。

という感じの意見。

②:ビデオ判定を導入すると当てっこゲームになってしまう

ビデオ判定を導入すると、竹刀を当てることが重視されてしまい、当てっこゲームになってしまう。
そうなると武道の精神が忘れられてしまう。

そのため反対という感じの意見。

では、それぞれについてチャイスケの反論を述べていこうと思います。

①:武道だから誤審を甘んじて受け入れろ

試合というのはあるルールに則って進行していくものです。

剣道においても、
ルール上に、「試合」についてや「有効打突」についての記載があります。

https://www.kendo.or.jp/old/kendo/rules/index.html

・試合は、本連盟が定めた試合・審判規則に基づき有効打突を競うものです。

・有効打突:充実した気勢、適正な姿勢を持って、竹刀の打突部(弦の反対側の物打ちを中心とした刃部)で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものをいいます。

ここからもわかるように、
誤審というのはルールに定められた通りの判定がされていない状態です。

なので、武道かどうかとかは関係なく、
ルール通りに試合を進行するという意味で誤審を減らすための努力はするべきです。

むしろ、誤審を許容する状態を放置している方が人間の道から外れているような気がしてなりません。

方法はビデオ判定ではなくてもいいかもしれませんが、何らかの方法で誤審は減らすべきです。

・・・これだけで充分反論になっている気もしますが、

念の為、更に丁寧に説明します。

剣道においては、試合で勝つことが目的ではありません
剣道経験者には言わずもがなですが、

剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である

と、剣道の理念が掲げられています。

そして、剣道の試合は剣の理法の修練の成果を試す場の1つです。

剣道は人間形成の道であるため、
ルールで人間の道から外れる行為は禁止されています。

例えば、礼儀を欠く行為には反則を取られたり、1本を取り消されたりします。
ガッツポーズが禁止されているのは有名ですね。

そしてもちろん試合は、
剣の理法の修練の成果を試すことができるルール(有効打突の基準)になっています。

有効打突は以下のように定義されていて、
有効打突を打てることが剣の理法を修練しているかどうかの1つの指標となるのです。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~aiken/gakka/g73.html

有効打突は、剣道試合・審判規則第12条に、充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものと規定されている。このような諸条件を満たした一本が有効打突となる。言いかえれば、気剣体一致の打突である。有効な打突は理合と残心からなっており、理合を要素と要件に分けると、要素には、間合・機会・体さばき・手のうちの作用・強さと冴えが含まれる。要件には、姿勢・気勢(発声)・打突部位・竹刀の打突部・刃筋が含まれる。残心は、打突後の身構え・気構えである。

どんなスポーツでも、勉強でも、ビジネスでもそうですが、
自分の立ち位置をできるだけ正確に把握することは大切です。

剣道でも同じです。

正確な審判がいないと、
剣の理法の修練の成果(自分の立ち位置)を正確に把握することができないのです。

そして、正確な審判の1つの条件は誤審がないことでしょう。

以上より、

「武道だから誤審があってもしょうがない」

というのは全くナンセンスです。

一応補足しておくと、

剣道は試合に勝つことが目的ではないので試合は不要

という意見であれば筋が通っています。

そういう意見には反論はありません。

そういう人は試合に出なければいいだけですし、
そういう人は「ビデオ判定反対」ではなく「試合反対!」という意見を表明しているはずでしょう。

②:ビデオ判定を導入すると当てっこゲームになってしまう

早速ですが、以下質問です。
以下のどちらの方が正確に判定できると思いますか?

・人間の目だけで瞬間的に判断しないといけない状況

・人間の目だけで瞬間的に判断した上で、必要があればビデオを見た上で再判断できる状況

どう考えても後者の方が判定の精度上がるくないですか?

で、

判定の精度が高い方がちゃんとした剣道の試合になるくないですか??

ビデオ判定をすると当てっこゲームになってしまうと言っている人は、
ビデオ判定を導入すると、当たったかどうかの優先度があがってしまうと考えていると思うのです。

しかし、先程①で記載したように有効打突は定義されているわけです。

その定義通りに判定するはずなので、
ビデオ判定を導入したからって当てっこゲームにはならないはずです。

当てっこゲームになってしまうと主張する人は、

・・・たぶんですよ、、たぶん、

有効打突の定義が曖昧な(わかっていない)人
(もしくは、一般的に有効打突の定義が曖昧に運用されていると感じている人)
だと思うのです。

人間の目で見るのとビデオで見るのとの1番の違いは、
当たったかどうかを正確に判断できるかどうかです。

そのため、
そもそも有効打突の定義が曖昧なところにビデオ判定を導入すると、
当たったかどうかの優先度があがってしまう。となるのです。

もし、この仮説があっているのであれば、

主張すべきは、ちゃんと有効打突の定義・基準を明確にしようということになります。

まとめ

剣道は武道だからという理由でビデオ判定導入を否定する人はもう一度考えてほしいです。

違う理由でビデオ判定導入を否定するのはありだと思います。

個人的には、
現状の剣道の審判にはとても不満があります。

ビデオ判定導入はそれを改善する1つの選択肢としてありだと思います。

ただ、「絶対にビデオ判定を導入するべきだ。」と言っているわけではなく、
他に良い方法があればビデオ判定でなくても良いです。

というよりも、最後の方でちらっと言いましたが、そもそも有効打突の定義・基準が曖昧であれば、ビデオ判定にしたところで有効打突を判断することができません

そして、現状、有効打突の基準はしっかりと統一されていない(有効打突の定義・基準が曖昧)と考えています。

そういう意味で、
有効打突の定義・基準を明確にする

ことの方が優先度は高いと考えています。

お読みいただきありがとうございました!

ではでは!

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コメント

  1. […] 剣道は武道だからビデオ判定は不要とか言ってるIQ3のやつ出てこい […]

  2. ミー より:

     とても説得力のある内容だと思います。
    私はビデオ判定反対派の意見なので、一応話させてください。
    まず私は、「どうして誤審が生まれるのか」を考えました。
    この前団体戦に出場し、私たちと同じくらいのチームに完敗しました。先鋒も次鋒も当たっていたのに1本にならず、中堅は瞬殺でした。大将だったのですが、相面で誤審され、取り返すも引き分けでした。敗因はわかっています。
    先鋒と次鋒の面つけが遅かったのです。
    その時点で審判はイライラしますし、勝てるわけがありません。
    だから私も誤審でとられたのでしょう。
    それだけではありません。個人戦でも誤審でまけました。相手は格上でしたが、確実に私の面でした。その場合の敗因は、相手の方が攻めが良かったということでしょう。
    それはつまりそのときの当たった当たらないではないなにかが重要ということです。
    それが、スポーツと武道の違いであり、醍醐味なのです。
    そんなのただ有効打突を打てばいいのなら、私だってつばぜり合いでくっつきまくり、全く打たず、相手がイライラしてきたところで渾身の一撃を食らわしますよ。
    ビデオで一体何を見るのですか?結局当たったかどうかですよね?

    • chaisuke より:

      ミーさん
      記事を読んでいただき、またコメントいただきありがとうございます!

      ミーさんのコメントをまとめると以下かなと存じます。

      ①誤審が発生する原因(場面といった方がしっくりくるかもしれません)がいくつかある。例えば、「面つけが遅いこと(もしくは審判がイライラすること)」「有効打突となるまでの試合の内容」

      ②誤審が起きる原因(場面)が有効打突に影響を与えること、が武道(剣道)の醍醐味

      ③ビデオ判定では、結局当たったかどうか(だけ)を確認する

      それぞれ私の意見を記載いたします。

      ①について、
      確かに、ミーさんが挙げてくださった原因(場面)によって誤審が起きる可能性はあると思います(というより実際にミーさんが体験していますね…)。
      審判も人間ですから、感情によって判断がぶれてしまうことや、一本を取りそうな選手を中心に目で追ってしまい判断を誤ってしまうこともあるでしょう。
      それは人間が審判をしている以上ある程度はしょうがないでしょう。
      しかし、そういった誤審をなくす努力はするべきでしょう。誤審なのですから。
      そして、誤審をなくす一つの策としてビデオ判定は有効です(詳しい理由は記事を参照)。

      ②について、
      ミーさんがそのように考えること自体は否定しません。
      しかし、私はそうは思いません。
      また、全日本剣道連盟もそのようには考えていないようです。
      記事にもURLを貼りましたが、以下のHPを見てみてください。

      https://www.kendo.or.jp/old/kendo/rules/index.html

       ”試合は、本連盟が定めた試合・審判規則に基づき有効打突を競うものです。”

      と記載があり、
      試合・審判規則には「誤審が起きる原因(場面)が有効打突に影響を与えること」については記載がありません。

      ③について、
      基本的には当たったかどうかを確認することに使うと思います。
      しかし、当たったかどうか以外にもビデオ判定を使う場面はあると考えています。
      例えば、刃筋の確認であったり、咄嗟に一本と判断ができずに旗を挙げるタイミングを逃してしまった場面などです。

      また、

      > つばぜり合いでくっつきまくり、全く打たず、相手がイライラしてきたところで渾身の一撃を食らわします

      とおっしゃっていますが、
      剣道試合審判細則規則の16条で以下の禁止行為を定めています。

      https://www.kendo.or.jp/old/kendo/rules/rule2.html

       6.故意に時間の空費をする。
       7.不当なつば(鍔)競り合いおよび打突をする。

      こちらに引っかかるようであればおすすめしません。
      (逆に、規則の範囲内であれば試合戦略として良いのかなと、個人的には考えます。実際、年齢やレベルを問わず、団体戦ではそのような戦い方をするのが普通ですよね。)

      認識の相違や、反論などありましたら教えてくれると嬉しいです。
      どうぞよろしくお願いします。

  3. 剣士 より:

    アホらし。
    有無を言わせぬ一本を決めればよいだけ。