「閉じた光」の歌詞を解釈・考察 RADWIMPS(ラッドウィンプス)

2006年2月15日に発売された3rdアルバム「RADWIMPS 3~無人島に持っていき忘れた一枚~」の4曲目に収録されている曲です。

「閉じた光 歌詞 意味」とGoogleで検索すると、「特攻隊員」について歌ったもの、という意見が多く出てきます。
しかし、しっかり読み解いていくと、歌手・アーティストとして生きていく中での気持ち・葛藤についての歌だと感じられます。
(野田洋次郎さん本人も投影していると思われる)

それでは早速、歌詞をブロックに分けて解釈していきます。

歌詞全文

閉じた光 野田洋次郎

あなたにナニカ届けたくて 声だけ持って走りました
ずっとずっと遠くまで そしたらナニカ忘れました


あなたをずっと想いました 星がきれいに見えたんだ
そしたら僕は思い出した 60億回目の息をした


「生きてること」確かめたくて 呼吸を少し 止めてみた
酸素は僕を望んでいた なんとなくすごく嬉しかった

遠くから声聞こえました 「頑張れ」と言っていたんだ
じゃあ誰より強くあればいい?

「誰よりも強くなればいい」と笑った時代が今
幾つもの命を奪った
閉じた瞼だけが僕の弱さを知ってたんだ

輝いたあの星も枯れ切った僕も宇宙の道草
それだけでまた明日も笑えるような気がしたんだ
降ってきたこの痛みは笑ってた僕がよこした辻褄
それだけでまた明日の僕を好きでいられる気がしたんだ

裸ラランランラランラ爛々ってな具合で生きてみたいものです
すっからかんのころんのすってんころりんちょんのポン
って名前で生まれてきたかったです (パパ)

でも諦めて僕笑いました 夢だけ置いて走りました
いやでもナニカ目指さなくちゃで 苦しい時こそ笑えだとかなんだ?

笑った友が今日も 「ちょっくら死んでくるわ」と言った
そしていつものよう 僕は左手を振った「またね」

消えてった今日の友は今日生まれてきた友の辻褄
それだけでまた明日も笑えるような気がしちゃった
持ってきたこの声はこんなこと言いたくなかったかな
置いてきたあの夢はどこかで喜んでいるのかな

ごめんな

この地球(ほし)は何億の夜を越え まだ明日を見ようとする
そしたらね 僕にもね 20年目の夜を越せる気がする
嫌いになるにはもう少しで 好きになるには程遠くて

うまいことできた世界だ

それでもね 上手にね 生きて見せる僕が好きだったりした
それだけでまたいつまでも笑えるような気がしたんだ
降ってきた快楽は泣いていた僕がよこした辻褄
明日光ってた星はたしかに 僕を見ていたんだ

解釈

あなたにナニカ届けたくて 声だけ持って走りました
ずっとずっと遠くまで そしたらナニカ忘れました

“声だけ持って走りました”の”声”は「歌」のことを指していて、野田洋次郎さん自身も含め歌手のことを指していると思います。

自分の歌声・歌詞だけを頼りに夢(後から出てきますが、成功すること。くらいに考えてください)を追いかけて走り続けてきた。ということかと思います。

そしたら、”ナニカ”を忘れてしまったとあります。

ここは”ナニカ届けたい”と”ナニカ忘れました”のところで「なにか」の使い方の違いでかけている要素があると思います。
前者は「特定の何か」、後者は「不特定の何か」という感じです。

あなたをずっと想いました 星がきれいに見えたんだ
そしたら僕は思い出した 60億回目の息をした

あなたを想って星が綺麗に見えた。
星はざっくり「僕が目指しているもの・ところ」という意味が込められていると思われます。

そしたら、”60億回目の息をした”とあります。

人は一生で数億回しか息しないので(気になる方は計算してみてください)、この60億というのは全世界の人の命のことを言っていると思います。
※2006年当時は世界人口は約60億人と言われていました。

解釈としては、
自分以外の約60億人(正確には59億9999万…人)は生きていることをすでに各々がちゃんと認識している。
しかし、自分は今やっと世界では約60億人が生きていること、そして自分が「生きている」ことに気付くことができた。

という感じでしょうか。そしてそれが次の歌詞に繋がります。

「生きてること」確かめたくて 呼吸を少し 止めてみた
 酸素は僕を望んでいた なんとなくすごく嬉しかった

先ほど、「生きてること」に気付きした。
そのため次は生きていることを確かめたくなり、呼吸を止めてみたんですね。

“酸素は僕を望んでいた”というのが解釈難しいですが、、、呼吸を止めるとその後に一気に体に息が流れ込んできますよね。それが酸素の方から望んで体の隅々まで行き渡っているように感じた。ということでしょうか。

まあ、とにかく、周り(酸素)から望まれていることを感じられて嬉しかった。生きていることを実感できたということです。

深く考えすぎかもしれませんが、歌手としても周りから認められるようになってきたことを表していると考えることもできます。

遠くから声聞こえました 「頑張れ」と言っていたんだ
じゃあ誰より強くあればいい?

“遠く”というのは自分やあなたではない誰かというくらいの意味でしょう。
社会や第三者(周り)と言い換えても良いかもしれません。

周りから頑張れ、と言われるけど、誰よりも強くなればよいのか?どこまでいけば歌手として成功なのか、ゴールなのか?という疑問が湧いてきます。

「誰よりも強くなればいい」と笑った時代が今
 幾つもの命を奪った
 閉じた瞼だけが僕の弱さを知ってたんだ

(昔、仲間たちと夢を語り合って「1番になれ」「1番になろう」と笑い合っていたが、)道半ばで夢を諦めて死んでいった人達がいる。という感じでしょうか。
※ここはきれいに文字通り解釈するのは難しいですね

“閉じた瞼だけが僕の弱さを知ってたんだ”は、目を閉じることで上述のように周りの人が死んでいく現実を見なかった自分の弱さ。を表していると思います。

輝いたあの星も枯れ切った僕も宇宙の道草
それだけでまた明日も笑えるような気がしたんだ
降ってきたこの痛みは笑ってた僕がよこした辻褄
それだけでまた明日の僕を好きでいられる気がしたんだ

また”星”が出てきましたね。
「僕が目指しているもの・ところ」も、それと対照的に今の枯れ切った自分も宇宙から見たら大したことではない。
そう思えたら明日も気楽に思える。

(死んでいった仲間を想うと感じる)この痛みは、笑っていた見返り。

この”笑ってた僕”の「笑い」は、すぐ前で出てくる”輝いたあの星も枯れ切った僕も宇宙の道草”と思って笑った部分とも、
(目指しているところと今の自分で大きく差があるのに気楽に笑っている自分への罪の感情)

もう少し前部分の、昔仲間たちと語り合って笑っていた部分とも考えることができそうです。
(昔、真剣に考えずに笑っていたことで死んでしまった仲間への罪の感情)

「笑って」いた罪とも言える感情も”この痛み”で辻褄があった(清算できた)から、また明日の自分のことを否定せずに(肯定して)いられる。という感じでしょうか。
※どちらにしろ、この歌の中で「笑い」は基本的にはネガティブな意味で使われているように思います。

後半へ続く

細かく解説していたらかなりのボリュームになってしまいました。

前半部分はここまでとして、残りは後編に引き継ぎます!
https://chaisuke.com/music-3

意見や感想(「私はこう思った」)などありましたらコメントください。

お読みいただきありがとうございました。ではでは!

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