「閉じた光」の歌詞を解釈・考察【後編】 RADWIMPS(ラッドウィンプス)

前編からの続きです。

RADWIMPS「閉じた光」の歌詞考察をしております。

「閉じた光 歌詞 意味」とGoogleで検索すると、「特攻隊員」について歌ったもの、という意見が多く出てきます。
しかし、しっかり読み解いていくと、歌手・アーティストとして生きていく中での気持ち・葛藤についての歌だと感じられます。
(野田洋次郎さん本人も投影していると思われる)

歌詞の全文は記事の最後に貼っておきます。

では、早速後編スタートです。

考察

裸ラランランラランラ爛々ってな具合で生きてみたいものです
すっからかんのころんのすってんころりんちょんのポン
って名前で生まれてきたかったです (パパ)

大きな方向性としては、前編の最後で説明したような、痛みや苦しみがなく、何も考えなくても良いような気楽に生きたかったな。ということだと思います。

“裸”や”爛々”の意味を深ぼってみると、
“裸”は、裸ということで産まれた時のありのままの姿、
“爛々”は、「光り輝くさま」、前から出てきている星(「僕が目指しているもの・ところ」。理想の姿)を表していると考えられます。

つまり、産まれながらにして目指している理想の状態だったらよかったのに。という感じだと考えています。
※考えすぎでしょうか、、

でも諦めて僕笑いました 夢だけ置いて走りました
いやでもナニカ目指さなくちゃで 苦しい時こそ笑えだとかなんだ?

しかし、そんなことは無理なので諦めて笑いました。諦めの笑いですね。

“夢だけ置いて走りました”は、文字通り夢(成功することくらいの意味でしょうか)を置いて走り出した。
歌詞が冒頭と対になっていて、「成功する」という”夢”を一回忘れて走り出した(歌を書き続ける・歌い続けた)。という感じかと思います。

嫌でも周りから”ナニカ”(いわゆる成功・特別な存在のようなもの)を目指すように言われることはもうこりごり。
そして、苦しい時こそ笑え、と言ってくることも納得できない。

笑った友が今日も 「ちょっくら死んでくるわ」と言った
そしていつものよう 僕は左手を振った「またね」

苦しい時だからこそ笑った友人が、自ら死を選んだ。
前半の”「誰よりも強くなればいい」と笑った時代が今 幾つもの命を奪った”からの繋がりで、また友人が死にゆこうとしている。

友人にそう言われたら、(今まで何回も同じような場面があったから)いつものように(軽いノリで)「またね」と言った。

ここで、わざわざ”左手”と言っているのは、左右の手のもつ意味に関係すると思われます。

右手は左脳と繋がっているため数学的・理論的な力→「現実」に関係し、
左手は右脳と繋がっているため直感的・潜在的な力→「精神」「想像力」と関係していると言われています。

友人が「死ぬわ」って言ってきて、まともな精神では「またね」ということはできないかと思います。
現実とは思いたくない気持ち(先に出てきた、眼を閉じて現実から目をそらす)が込められていると思います。
※考えすぎでしょうか、、、笑
※特攻隊員説の意見としては、左手は敬礼を表しているようです。

消えてった今日の友は今日生まれてきた友の辻褄
それだけでまた明日も笑えるような気がしちゃった
持ってきたこの声はこんなこと言いたくなかったかな
置いてきたあの夢はどこかで喜んでいるのかな

ごめんな

死んでいった友人は、また新たに出会った友人との辻褄。

死んでいった友人がいるからこそ新しい友人ができる。と思うことで明日も笑うことができる。
次の歌詞からわかるように、ここでも笑いはネガティブな意味で書かれています。

“持ってきたこの声”は、歌詞1行目の”声だけ持って走りました”の声とかけてますね。
大事な「声」は死んだ友人の存在を肯定するようなこと( 死んでいった友人がいるからこそ新しい友人ができる )言いたくなかったかな。(言いたくなかったに違いない)

“置いてきたあの夢”も”夢だけ置いて走りました”の夢とかけてますね。
夢もこんな自分のことを喜んでいるのだろうか。(喜んでいないに違いない)

声や夢の期待に添えなくてごめんな。

この地球(ほし)は何億の夜を越え まだ明日を見ようとする
そしたらね 僕にもね 20年目の夜を越せる気がする
嫌いになるにはもう少しで 好きになるには程遠くて

うまいことできた世界だ

地球は何億年も生きてきて、明日も希望をもって生きていこうとする。
地球にわざわざフリガナ「ほし」と入れているので、先ほどから何度か出てきている「星」(僕が目指しているもの・ところ)という意味も含まれているような気がします。
ちなみに、地球は46億年前に誕生したと言われていますね。

地球(ほし)のことを考えると、自分も頑張れる気がする。
“20年目の夜”とありますが、野田洋次郎さんの誕生日が1985年7月5日なので、この曲を作詞した時はちょうど20歳前後です。

ここまで説明してきた通り、歌詞は基本的にはネガティブな自分を綴ってきていました。
その中でも、完全に自分のことを嫌いになりきらずに”それだけでまた明日の僕を好きでいられる気がしたんだ”などと保っていました。
自分を嫌いになりきっていたら、友人みたいに「死」という選択肢を取っていたのだと思います。

そんなことをひっくるめて、好きになるには程遠いが、嫌いになりきらずに20年目の夜も越せる。そんなうまいバランスが取れた世界。
(ここでの世界は、歌手の世界という感じでしょうかね。)

それでもね 上手にね 生きて見せる僕が好きだったりした
それだけでまたいつまでも笑えるような気がしたんだ
降ってきた快楽は泣いていた僕がよこした辻褄
明日光ってた星はたしかに 僕を見ていたんだ

ここまで、全体的にネガティブな感情で自分が描かれていました。しかしここからポジティブな話になります。

散々ネガティブなことを言ったけど、上手に生きている自分を本当はそこまで嫌いではなかった(肯定できる気持ちも持ち合わせていた)のですね。

そう思うと、ずっと笑っていられる気がした。ここでの笑うはポジティブな意味だと思われます。次の歌詞で快楽と言い換えています。

“泣いていた僕”は、死んでいった友人をみて泣いていた様子(ネガティブな様子)をさしていると考えられます。

しかし、そういったネガティブなことがあるおかげで(辻褄で)、自分のことをポジティブに捉えることができるようになった。それを降ってきた快楽と言っています。
苦しんできた時間があるからこそ、今のポジティブな自分がある。という感じでしょうか。

“明日光ってた星”で最後にまた星が出てきました。自分が目指しているもの・ところでしたね。

“明日”(つまり未来)自分が目指していたところが、現在の自分を見ていた。つまり、現在の自分に対してこっち(理想)においでと誘っている構図を想像していただくとわかりやすいと思います。

ということで、最後はポジティブな希望を持ったところで終わりになります。

タイトルの「閉じた光」

最後に、「閉じた光」とはどういったことでしょうか。

死んでいった友人たちは皆、野田洋次郎さんのようにそれぞれが「目指しているもの・ところ」(星)があったはずです。

しかし、そこに到達することなく、命を絶って(閉じて)しまいました。

歌詞全体を見ると、その友人たちのことを想った歌といえると思います。
閉じた光も、そういった閉じてしまった友人たちへの気持ちが込められていると思われます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

歌手・アーティストとして活動していく中での厳しさ、葛藤をうまく歌詞に載せた歌でした。

「60億回目の息をした」「酸素は僕を望んでいた」「~の辻褄」など、特徴的なフレーズが聞いていて癖になりますよね。

感想などありましたら、コメントいただけたら喜びます!

お読みいただきありがとうございました。ではでは!

歌詞全文

閉じた光 野田洋次郎

あなたにナニカ届けたくて 声だけ持って走りました
ずっとずっと遠くまで そしたらナニカ忘れました


あなたをずっと想いました 星がきれいに見えたんだ
そしたら僕は思い出した 60億回目の息をした


「生きてること」確かめたくて 呼吸を少し 止めてみた
酸素は僕を望んでいた なんとなくすごく嬉しかった

遠くから声聞こえました 「頑張れ」と言っていたんだ
じゃあ誰より強くあればいい?

「誰よりも強くなればいい」と笑った時代が今
幾つもの命を奪った
閉じた瞼だけが僕の弱さを知ってたんだ

輝いたあの星も枯れ切った僕も宇宙の道草
それだけでまた明日も笑えるような気がしたんだ
降ってきたこの痛みは笑ってた僕がよこした辻褄
それだけでまた明日の僕を好きでいられる気がしたんだ

裸ラランランラランラ爛々ってな具合で生きてみたいものです
すっからかんのころんのすってんころりんちょんのポン
って名前で生まれてきたかったです (パパ)

でも諦めて僕笑いました 夢だけ置いて走りました
いやでもナニカ目指さなくちゃで 苦しい時こそ笑えだとかなんだ?

笑った友が今日も 「ちょっくら死んでくるわ」と言った
そしていつものよう 僕は左手を振った「またね」

消えてった今日の友は今日生まれてきた友の辻褄
それだけでまた明日も笑えるような気がしちゃった
持ってきたこの声はこんなこと言いたくなかったかな
置いてきたあの夢はどこかで喜んでいるのかな

ごめんな

この地球(ほし)は何億の夜を越え まだ明日を見ようとする
そしたらね 僕にもね 20年目の夜を越せる気がする
嫌いになるにはもう少しで 好きになるには程遠くて

うまいことできた世界だ

それでもね 上手にね 生きて見せる僕が好きだったりした
それだけでまたいつまでも笑えるような気がしたんだ
降ってきた快楽は泣いていた僕がよこした辻褄
明日光ってた星はたしかに 僕を見ていたんだ

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